全国の眼鏡フレーム出荷の98%を占める福井だけにメガネ修理工場が点在しているのも不思議なことではない。メーカーが量産体制でフレーム製造をしている反面、修理が来るとなかなか単品扱いで対応しきれない部分がある。卸または小売店から舞い戻ってきた破損メガネが、工場の片隅に放置されたままであったりし、かつて修理には1か月かかるというのも業界スタンダードだった。また、コストや時間の面から、店頭で応急措置としての修理も施されていた。
しかし、設備が整った専門技術者が行なった修理フレ−ムには歴然とした仕上がりの差が出ることから需要も増え、今ではメーカーや卸、小売店からの依頼がきている。メタルやプラスチックフレーム、べっ甲フレーム等のさまざまな材質にも対応し、ろう離れ、リム切れなど、特殊ケースを除くあらゆる破揖に対応できる。また、「修理とクレームは紙一重」ということから、クレームの場合は新品との交挽も可能だが、何年か使用したメ方ネを新品に交換することは小売店にとっても好ましいことではない。そんな因った部分のお助けマンとして、フレーム修理業はとても重宝な存在となっている。
大手の場合、専属の修理・アフター部門を持つケースも見られるが、今回、修理の技術やサービスといった独特の持ち味を生かして顧客を獲得し、対応する修理事業所を訪問した。
修理依頼のケースには、スピーディーさや価格を求められるケースと完璧な修理を求められるケースの2通りあると考えられる。取材したスリーエス・アイでは120万円で買ったという思い入れのメ方ネ、リペアー福井では肉親の形見だというメ方ネを持ち込まれたケースがあり、ただ直せばいいというわけではなく、使い手の望む修理の方法を考える必要があるということだった。テンプルチップを新品に交換することもできるが、ケースによっては、既存のものに磨きをかけたりする。新品同様になったとしても、元の風合いを揖なってはならない場合もある。
量産フレームと違い、何一つとして同じ条件ではないこと、大半は手作業であることから、1日にできる枚数にも自ずと限界が出てくる。
修理工程は、壊れ方や修理依頼にもよるため、ケースパイケースとなるが、実に細かい工程を単品対応していく。メタルフレームのろう離れひとつとっても、工程は次のようなる。
検品・記録(入ってきた修理のメ方ネの受付、コピーに取り記録する)→修理確認(指示書に従うが不明な点は確認する)→ばらす作業(テンプルチップ、パッド、レンズをはずす)→表面処理剥離(表面処理の方法が多岐にわたっているため、剥がし方も5〜6種類に及ぶ)→ろう付け加工(スポット、高周波、レーザーなどろう付け手法をフレ←ムによって選択する。修理のポイントとなる部分でもある。量産品とは違うため、修理ろう付けの技術習得には4年はかかると言われている)→研磨→表面処理→組み立て→調子取り→検品→発送。ものによっては、ホーニング加工や七宝を施す。
ここまでの作業にだいたい8日くらいかかるが、最も時間を要するのは外注に頼らざるを得ない表面処理の部分だという。
また、潟}コト眼鏡で、プラスチックフレームの修理工程について聞いた。
主に、セル枠の修理は、フロント側丁番のコマ折れ丁番の抜けからくる修理がほとんど。良品を普通に使用していれば、壊れることはまれだが、太いテンプルの場合、バネ性が弱くなるため、支点に力が集中して丁番が抜けるなどの故障が生じたりする。あとは、使用者が誤って踏んでしまったなどのケースが多い。
コマ折れの場合、熱をかけて丁番を抜き取り、その後を穴埋めする。丁番がはずれないよう座彫りして、熱をかけて丁番を入れる。座彫りは、品質へのこだわりの部分となる。まれに折れたブリッジの修理があるが、ほとんどの場合は顔サイズに合わないフレームを掛け続けて起きる現象だそうだ。顔への装着時、テンプルが無理に開ききった状態となり、ブリッジに繰り返し力がかかることで、自然劣化が進み、突然、折れる。これはプラスチックフレーム特有の壊れ方だともいえる。
(P75,76参照)
清水和美社長は25年にわたって大手眼鏡フレームメーカーに勤務し、チタンフレームをはじめとし、まざまな技術開発にも携わってきた。永年培ってきた技術が生かせ、人があまりやっていないことに
取り組もうと、平成7年に3人のスペシャリストでメガネフレーム修理業を始めた。当時、対応できるとこらが少なかったことから、依頼が増加していった。同社では特に、技術や品質に対するこだわりは強く多くの顧客から高い信頼を得ている。特に輸入フレームは、同じパーツの調達が難しいことから、現物から直さなくてはならないケースも多い。パッド足も日本製と違い、表面処理の手法も違う。修理の方法は依頼主との確認を重視しながら行なっていく。
ろう付けは、フレームの種類によってスポットろう付け、高周波ろう付け、レー
ザー溶接を使い分けるがろう材も皮膚に悪影響のおそれがあるニッケルは使用しないという徹底ぶり。最後の仕上げとして、テンプルチップの研磨サービスも行なう。
手磨き工程を重要視し、傷、腐食を落とし、磨き上げる。新品の製品を磨くのとは大きく違うため、ベテラン職人が対応している。
鯖江市水落町3丁目10−12
電話0778−53−2051 FAX53−2052 http://www.tutuji.com/sss-i
(P77参照)
清水和美社長
(有)スリーエス・アイ